「むずかしい内容を勉強する時は、自分の大すきな要素を少し入れると良い」
とは、よく塾の先生やジャンプで連載中の暗殺教室でも言われています。
初めの障害を少なくすることで、その分野に対しての一番の障壁をのりこえることが出来ます。
近年話題のWEBマーケティングは嫌いではないですが、分野がとても広く初めの一歩をどこから入って行けばいいのかわからないものの一つでもありました。でも、このマンガでわかるシリーズはマンガでまず説明し、そして文書で細かい部分を開設してくれるという優秀ではない私でもWEBマーケティングについて学ぶのにもってこいの書籍です。
作者の村上佳那さんは、カルチュアコンビニエンスクラブ株式会社TSUTAYA事業本部にてWEBディレクターを務め、長年WEBマーケティングコンサルタントとして働いてきた方です。実際の現場で経験したこと感じたことを自身の思いも加えて書いてくれています。
WEBの勉強をしたいと思ってamazonを見ていたところ、見つけてしまいすぐに読んでしまいました。全部で二巻です。
内容は、WEBマーケッターとは何?というところから、実際にはある企業をコンサルしていく流れを提案、SEO対策、トラブル、そして成功までのプロセスについてみていくことが出来ます。
WEBマーケッターって何?
まず誤解の多いWEBマーケティングという言葉。最近では、認知している会社も多くなってきていますが、まだ地方では誤解の多いマジックワードとなっています。
まず、WEB+マーケティングの言葉に分解していくと、「WEB」はインターネット上で展開されているアプリケーションや技術のこと、そしてマーケティングは、
事業の現状を分析・考察したうえで、企業の成長につながる戦略や施策を考え、実行に移し、その企業の成長を継続させる考え方や取り組み
出典:マンガでわかるWEBマーケティング
となります。
ということでまとめると、WEBマーケティングとは以下のようになります。
WEBを活用することで、「マーケティング」を促進させる考え方とその取り組みすべて
出典:マンガでわかるWEBマーケティング
すべてということで、いろいろな分野にまたがることがわかると思いますが、WEBマーケットを行うマーケッターもいくつかの分類が出来ます。
・メーカー事業会社WEBマーケッター
・ネット専業事業会社WEBマーケッター
・広告代理店コンサルタントWEBマーケッター
・ソリューション提供WEBマーケッター
こうした様々な分野の方々が協力し合い、戦略を練り、実行していくことで、企業成長を目的に取り組んでいます。
WEBマーケティングに使われる指標基礎
最初の章では集客を目的とするお客様に対してコンサルを行い、要求通りの結果を残すが本当の課題に対して答えられないことからお客様の気分を害してしまう章です。
このすれ違いはなぜ起きたのか?ということですが、これがコンサルタントとお客様の知識の違いからくるものと思われます。WEBマーケティングにおいてどういう指標があり、それがどのような意味を成すのかをしっかり意識して話さないと最終的なゴールにずれが生じてしまいます。
基本的なWEBマーケティング指標
・PV:ページビューの数
・UU:ユニークユーザの数
・セッション数:のべ人数の数
・一人当たりの指標:PV、セッション数をUUで割った値
・CVR(コンバージョン率):購入するなどの成約数をUUで割った値
今回の話では、この中からCVRを重視した戦略をとるべきだったのに、PVを増やす戦略をとったことでお客様のほんとうの狙いである成約するをふやすことができなかったことが問題でした。
KPIをしっかりと立てることの重要性
KPIとは、目標を達成するために実際のどのような行動をしてどのような成果になるべきかというはっきりとした数字となるものです。
これは目標=KPIとなるわけではなく、目標を達成できなかった場合はKPIを変えたりと次の戦略を打ち出す時にも重要な数字になります。
この書籍ではKPIのポイントものべられています。
○KPIのポイント
・業種、業態、扱う商品によって大きく異なる
・他社、他部署のまねをしても意味をなさない
・「決め」の問題である。関係者間の納得感と運用が回ることが非常に重要
・設定を間違えると、目標が設定できない。これは致命的
・「目標」ではなく、目標を達成するための「行動の目安となる指標」
出典:マンガでわかるWEBマーケティング
このKPIがきまると余分なコスト削減にもなるし、どこに力を入れればいいのかがはっきりする反面、そこが誤っていると取り返しのつかないことになるため、適切なKPIを定めることは非常に重要なことになります。
お客様に合わせた戦略を
WEBマーケティングのいいところはお客様がどこから来て、なにを見て、そして何をしていったのかがわかるところです。
ということは、そのお客様一人ひとりに合わせたページを提供することにより、CVRが上がっていきます。
その際に出てくる言葉が、検索エンジンマーケティングです。
検索エンジンマーケティンの考え方は大きく3つ。
①検索順位で上位を目指せ!SEO
定番のマーケティング手法の一つです。検索結果の上位表示されるほどそのサイトへのクリック率が上がります。2ページ目になるとクリックしてもらう確率がぐっと下がります。
②人気のワードの検索結果に乗っかる!検索連動型広告
Googleアドワーズ広告とYahoo!リスティング広告と言われ、人気のキーワードの検索結果に自分のサイトへのリンクを置ける権利を買ってそこからのクリック流入を作る手法です。広告費用の中でも多くの費用を使っている企業も多く、注目されています。
③お客様の望む情報をその場で表示!LPO
検索キーワードごとに表示するページを変えて、よりコンバージョン率を上げる方法です。検索されて自身のページに訪問されてからの部分になりますので、上記2つとは異なるかもしれませんが、WEBマーケティングにとって重要な部分になります。
コンサルタントと顧客のすれ違い
WEBマーケティングとは直接関係のない部分ではありますが、コンサルタントとしてはたらしていく上で意識しなくてはいけないところです。
お客様とどういうことまで対応できるのか、何ができて何ができないのかをしっかりと決めることでコンサルタントとお客様の間に信頼関係が気付けます。特に何社ものお客様を担当しているコンサルタントは一つのお客様に対してだけ注力することが出来ず、こういった調整力も非常に大事になります。
WEBマーケティングのトラブルとその対応
何かしらの理由でおこるトラブル、100%気を使っていても起こる時は起こります。実際にどのようなトラブルが起こりうるのか、そしてその時の対応はどのようにしたらいいのか。
ざっくりとですが、本書籍ではまとめられています。
○WEBマーケティングの起こり得るトラブル
(1)自社WEBサイト周辺
・サイトのダウン(表示されない状態)
・サイトのリンク切れ
・第三者によるサイトの不正改ざん
(2)メール関連
・メールの誤送信
・ウィルス感染
(3)SNS、他サイト周辺
・SNSの炎上
(4)コンプライアンス周辺
・個人情報の流出
出典:マンガでわかるWEBマーケティング
起こってしまった場合、これらの原因をしっかり突き止め、それに対してしっかり対処することが非常に重要になります。
このトラブルにはそのトラブルのレベルがあり、小トラブルから重大トラブルまでに分類されます。
「重大トラブル」… 莫大な金額と、信用・信頼の損失を被るもの
「大トラブル」… ある一定の金額の売り上げ機械損失と、複数のお客様からの信用・信頼に課題を残すもの
「中トラブル」… 当事者をなったお客様からのクレームに及ぶもの
「小トラブル」… 外部発覚前に内部で収束させたもの
出典:マンガでわかるWEBマーケティング
このトラブルのレベルによってお客様への対応の仕方が変わってきます。基本的には、お客様への対応の仕方として、以下のようにまとめられています。
○トラブルの普遍的な対処方法
・事象や被害など影響範囲の正確な把握
(日時、地域、場所、被害者、被害団体、内容、人数、金額など)
⇒⇒⇒
・謝罪と賠償
(謝罪のみで済まない場合は、金銭や物品での賠償も考えられます。商品やクーポン・ポイントなどで代替されることがある)
出典:マンガでわかるWEBマーケティング
トラブルの基本的な対処法を意識するとともに再発防止についてもしっかり対策を練ることが必要です。
データベースマーケティングとは
今回、この書籍では引き起こしてしまったトラブルをデータベースマーケティングを活用して乗り切ります。このデータベースマーケティングは近年注目されている分野でもあり、よく大手検索エンジンでも導入されています。
データベースにはお客様の多くの情報が記録されています。たとえば、初めてのお客様、二回目の購入のお客様、前に一度購入して期間を開けてから再度購入してくれたお客様など。
これらの情報を活用することで、内部で持ってる資産を活用し、個々のお客様に対して別々の対応をすることができます。
これによってお客様満足度の向上も期待が出来ますので、近年ではデータベースマーケティング専用の部署または、企業も生まれています。
プロジェクトの成功へと導けた理由
お話の中では、無事今回のプロジェクトの成功に導いた要因として、ネットからリアルへの一気通貫マーケティングが挙げられています。
今回の場合はモデルハウスの商談までのお話でしたので、
WEBで見込み客をしっかりと確保する
そのお客様が興味のあるページを用意する
お客様に見学の予約をしてもらう
フォローメールを送る
見学に来場した際に住所記入などの余計な手間を省く
などのWEBを活用したスムーズな流れがうまく機能したことが要因となっています。
その他、成功の要因はたくさんありますが、やはり一度失敗してからの持ち直しがしっかりできたことも大事です。
よく企業内でも言われているPDCAサイクルの活用。これがしっかり回っていること、そして、今後も続いていく仕組みを作ったことがいちばんの要因なのではないかと思います。
PDCAサイクルとは
Plan(計画):まず目標を設定し、それを具体的な行動計画に落とし込む
Do(実施・実行):組織構造と役割を決めて人員を配置し、組織構成員の動機づけを図りながら、具体的な行動を指揮・命令する
Check(点検・評価):途中で成果を測定・評価する
Action(処置・改善):必要に応じて修正を加える
出典:マンガでわかるWEBマーケティング
出来ていると思っている企業こそもしかしたら見直しが必要な部分かもしれません。
WEBマーケットに携わっていくものとして手元に置いておきたい一冊
ここに書いたのはほんの一部でしかありません。実際に物語の流れに沿って読んでいくと、一連の仕事の流れも感じることが出来るので、何か壁にぶつかった時に振り返るきっかけをくれるかもしれません。
マンガの部分も多く、1~2時間あれば読めてしまう本です。学生の方はマンガの部分だけでもいいそうですので、WEBマーケティングの入門書として、そして初心を忘れないためにもお勧めです。
簡単にこれからのWEBマーケティングの未来について最終章に書かれていますので、本編と合わせて一読をお勧めします。
2巻も合わせてお勧めです。